| ※この記事は2002年9月29日付けの北海道新聞 (くらしの扉)から引用した記事です。 |
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ホームヘルパーの資格を持つタクシー運転手が要介護の高齢者を介助し、病院などへ運ぶ「介護タクシー」。専門技術を持つ運転手への安心感と、割安の料金が大きな魅力だ。ところが、厚生労働省による介護保険制度の改正で、報酬単価引き下げの可能性が強まっている。利用者の負担や業者の収益はどう変わるのか。 (鈴木理恵、小川郁子) |
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利用者負担214円。 |
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| 札幌市南区川沿で一人暮らしをしている大谷富子さん(78)は、二週間に、一度、区内の病院に通う。大谷さんは股(こ)関節が悪く、歩くたびに痛みを感じる。バス停まで歩くのは難しく、介護タクシーに頼っている。 午前十時。寿ハイヤーの運転手、友和和枝さん(40)が、大谷さんの家の前にタクシーをとめ、玄関まで迎えに出た。友和さんはホームヘルパー二級の資格を持つ。「かぎは掛けましたか」「大丈天ですか」と声を掛けながら、大谷さんの体を支え、車に乗せる。 十分ほど走り、病院に着くと、友成さんは大谷さんを支えて車いすに乗せ、一緒に病院の受付窓口に向かった。大谷さんが診察券や保険証を出すのを手伝い、タクシーに戻った。 大谷さんの家から病院までの料金メーターは八百四十円。しかし、介護保険指定事業者の寿ハイヤーは、大谷さんの介護報酬として二千百三十七円(札幌市独自の算定額)を後日、札幌市から受け取り、タクシー運賃はその中でまかなう。 大谷さんは介護サービスの一割を負担すればよく、同社に二百十四円を支払う。 厚生労働省は「介護報酬は車の乗降介助や病院に付き添いなど直接の介護への対価で、タクシー輸送は介護保険の対象外」として、来年四月以降、介護タクシーの三十分あたりの報酬単価を二千百円より引き下げる意向だ。タクシー側の受け取る報酬は減る。 |
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業者にも痛手? |
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| タクシー運賃が二千円かかる病院に通い、三十分未満の介助を受けるAさんを例に考えてみる。 ◇ケース@ タクシー運賃二千円は介護報酬二千百円の中に含まれるとして、利用者からは運賃を徴収しない「Bタクシー」の場合。 Aさんの現在の負担額は、二百十円だけ。Bタクシー介護報酬二千百円を受け取る。 報酬単価の引き下げで、Bタクシーの受け取る介護報酬の額は減る。報酬がタクシー運賃の二千円を割り込んだ場合、Bタクシーは運賃全額をサービスすることはできなくなるとみられ不足分は利用者の負担になる公算が大きい。 札幌の寿ハイヤーでは、介護タクシの利用者は一ヵ月約百八十人。そのうち九割は介護報酬で運賃をまかなっているが、残り一割ほどの人はタクシー運賃が介護報酬を超えるため、差額を徴収しているという。 仮に介護報酬が千五百円に引き下げられたとすると、半数の人のタクシー運賃は介護報酬を超えるため、同社の諸沢紘一専務は、「利用者の負担が増えれば、使わなくなる人が出てくるのではないか」と話している。 ◇ケースA 介護報酬とは別にタクシー運賃を利用者から受け取っている「Cタクシー」を利用した場合。 Aさんの現在の負担額は、介護報酬の一割負担分二百十円と、タクシー運賃二千円の計二千二百十円。 Cタクシーの収入は、タクシー運賃二千円と介護報酬の二千百円の計四千百円。 報酬単価が引き下げられた場合、介護報酬のAさんの一割負担額も二百十円より少なくなり、タクシー運賃二千円との合計支払額はいまより若干安くなるとみられる。タクシー会社の収入は、報酬単価が下がる分、減ることになる。 |
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「運賃」で省庁の見解にずれ 厚生省「介護保険の対象外」 国交省「報酬充てて構わぬ」 |
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| 実は「介護タクシー」には、明確な定義はない。運行にかかわる厚生労働省と国土交通省とも、介護タクシーの存在意義を認めてはいるものの、国として「介護タクシーはこうあるべきだ」という見解は出していない。 両省の間ではっきり「ずれ」があるのは、タクシー運賃に対する考え方だ。 厚生労働省は「タクシー利用自体は介護行為ではなく、介護保険の対象外」とするが、国土交通省は「介護報酬をタクシー運賃に充てても構わない」としている。こうした国の対応は、道内業者の参入に二の足を踏ませている。 渡島管内上磯町の新星ハイヤーは、ヘルパー二級の資格を持つ運転手三人を置いている。しかし、介護保険事業者としての道の指定は受けていない。乗客から料金を受け取り、介助は同社独自のサービスとして、無料で行っている。 同社の鐙谷朝詩総務部長は「国交省と厚労省の見解のずれが埋まらない限り、介護保険事業者として参入する考えはない。報酬単価が決まり、介護タクシーの制度が明確になった上で、採算が合うかどうかを判断したい」と慎重な姿勢だ。 士別市の士別ハイヤーは、二〇〇〇年に介護タクシーを始めた。当初、介護報酬を受けていたのに加え、運賃は別枠で乗客から受け取っていた。 しかし、介護報酬で運賃をまかなうタクシー会社が全国的に増えたため、士別ハイヤーも今年五月から同様の方式に変えた。 同社は介護報酬引き下げに対応するため、介護報酬内で走る場所を士別市中心部の直径約五`の範囲に限定した。郊外だと、介護報酬だけでは運賃をまかなえないからだ。 士別ハイヤーの佐藤元信社長は「連賃を介護報酬でまかなうやり方は、本意ではない。運送事業者として、メーターに出た料金をそのまま受け取るのが基本。介護報酬と運賃は切り離して考えるべきだ」と話している。 |
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外出の手助けを介護と位置付け |
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| 介護タクシーは、介護保険制度導入前には想定されていなかったサービスだ。車の乗り降りや外出の際の手助けを「身体介護」とみなしている。 身体介護は、訪問介護の三種類の介護報酬のなかで、最も高い三十分未満二千千百円。 国土交通省は当初、「運賃を取らないのは道路運送法に反する」として、介護タクシーに懸念を示していたが、その後、「介護報酬を実質的な運賃とみなすことも可能」と方針転換した。 来年四月からの介護報酬見直しでは、「介護タクシー」を独立した項目として設けることが決まっているが、具体的な単価は未定だ。 |
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